最先端かつユニークな研究を行い、その成果を治療に生かす

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• 糖尿病・内分泌・代謝内科には、(1)インスリン分泌機構研究班、(2)インスリン作用機構研究班、(3)糖尿病合併症研究班、(4)糖尿病発症機構研究班、(5)内分泌疾患病態生理研究班、(6)臨床内分泌研究班という6つの研究班があります。

  インスリン分泌機構研究班

  インスリン分泌機構研究班は、分子生物的手法を用いた基礎的研究を行っております。マウスの膵臓から取り出したβ細胞を含むランゲルハンス氏島やMIN6 細胞を使用し、各種薬剤ならびにサイトカインなどを含む多様な生理活性を有する種々の因子を用いて、インスリンの分泌と合成に及ぼす影響や細胞内代謝機構について検討。さらに、β細胞からのインスリン以外の分泌物質についても、その制御機構や病態生理学的作用について検討を進めています。また、これらの基礎研究とは別に臨床的研究も行っており、膵β細胞内でのプロインスリンからインスリンへの変換過程が妨げられている現象を明らかすることと、その異常に関する分子機構の解明に着手しています。

  インスリン作用機構研究班

  インスリン作用機構研究斑では、主に脂肪細胞におけるインスリン受容体結合以降のシグナル伝達や、インスリン様作用物質による細胞への糖取り込みと糖輸送担体へ及ぼす影響、さらにはアディポカインの分泌制御機構や酸化ストレス、ER ストレス、mitochondrial uncoupling、熱刺激などの病態への作用機序について検討し、インスリン抵抗性がもたらされる機序の解明を進めています。また、脂肪組織の慢性炎症と糖尿病の関連性についても研究。両者を結びつける最も重要な因子であるケモカインのMCP-1 に関して、肥大化脂肪細胞における分泌制御機構を解明。さらに、インクレチンなど消化管ホルモンに関する研究も行なっており、グレリンに関しては、多くの研究結果が報告されている中枢作用に比べてほとんど解明されていない末梢作用、その中でも種々のアディポカイン分泌制御機構を含むインスリン抵抗性関連作用を明らかにしました。

  糖尿病合併症研究班

  糖尿病合併症研究班は、糖尿病合併症の中でも、特に骨代謝ならびに大血管障害に関して精力的に研究を行っております。骨代謝異常に関しては、その発症におけるイニシエーターの一つが、脂質異常症状態下で骨芽細胞より分泌が増大するVEGF120であることを世界に先駆けて発見し、その分泌制御機構も明らかにしました。加えて、臨床データを解析することにより、高血糖状態が続くことによっておこる骨量減少の病態およびその原因を検証し、またインクレチン関連薬の改善作用の臨床的検討にも着手しています。大血管障害に関しては、血管内皮細胞モデルとしてHUVEC を使用した基礎的研究と、頸動脈超音波検査による頸動脈の解析を基盤として、全身の大血管に悪影響を及ぼす因子を可能な限り収集し、臨床的研究を行っています。

  糖尿病発症機構研究班

  糖尿病発症機構研究班は、糖尿病発症のメカニズムを総括的な立場より解明するために、臨床および基礎の両面より研究。その一つとして、摂食調節因子について、種々の糖尿病要因との関連性の評価を広範に解析する臨床面に加え、3T3-L1 脂肪細胞などを使用した基礎的研究も行っています。さらに、インスリン抵抗性を惹起する種々の脂肪酸に加えて、酸化ストレスや悪玉アディポカインの糖尿病発症における役割とその分子機構、およびGLP-1 などのインクレチン関連因子と糖尿病発症との結びつきについても、臨床と基礎を融合させた独特の研究方法により検討を進めています。また、膵β細胞からのインスリン分泌障害に関与する因子も含めて多角的に解析することもでき、これまでに報告されていないような観察結果が得られています。

  内分泌疾患病態生理研究班

  内分泌疾患病態生理研究班では、生体内に存在する多様な内分泌組織間の新たなネットワークの解明に取り組んでいます。特に、その研究成果の中の一つである中枢性尿崩症患者に対して高張食塩水負荷試験を施行して得られた結果の解析により、血漿浸透圧の上昇が AVP またはウロコルチンの作用を介して下垂体前葉からの ACTH 分泌を促進し、さらにそれに続く副腎皮質からのコルチゾール分泌も増大させることを確認。これは、中枢性尿崩症患者の ACTH－コルチゾール系調節において、正常人とは異なった制御機構が存在することを実証するものです。

  臨床内分泌研究斑

  臨床内分泌研究斑では、代表的な内分泌疾患の診断・治療はもとより、臨床的に非常に稀な疾患についても精力的にその診療を行っております。診断・治療に関しては、特に個々の症例において臨床的なアプローチを重視し、その病態を解明すべく最新の臨床研究データを常に把握することは勿論のこと、積極的に研究会等へ参加して新たな知見を吸収。より優れたエビデンスに基づいた診療を行っています。また、これまで見逃されていた特殊な病態を発見することも多く、多方面より注目されています。